融通の利かないものたち

たちばなしNo.62

奈良鷺池浮見堂


こうさんのひとり言


ひとが手をかけなくても、なんでもできる世の中がやってきている。
大変便利で、ものぐさな者にとっては大変ありがたい。
ところがこれらの便利さは不便さでもある。
つまり完成されていない便利さだ。
どうせやるならもっと徹底してくれ、と勝手な注文をつけてみる。


第1の注文:トイレに物申す
トイレの蓋が自動で上がる。
トイレの水が自動で流れる。
すばらしい!
汚れている蓋やケツを拭いた手で回したり押したりする流水スイッチ。これらを触らずに済ませられるので、手を汚さずに済む。これを考えた人、本当にありがとう。

でも、トイレの掃除やトイレットペーパーの収納のためなどに入っても蓋が開くってどうなの?
そういうときには蓋が開かないようにすることはできないの。

例えば、用を足そうとする表情をとらえた場合だけ蓋が開くとか、「おしっこ」といったら蓋が開くとか。何か手立てはあるんじゃないの。

それに、勝手に流れるシステムも、ケツを上げてまだ拭いている途中で流れるっていうのはどうなの?
拭いた紙をすてて、もう一度流すというのは資源の無駄遣いになるよ。ケツぐらい、ゆっくりしっかり拭きたいよね。

例えばちゃんと立ち上がったら流すとか、「もういいよ」と言ったら流すとか。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。


第2の注文:電灯に物申す
この頃、道を歩いていると家々の庭先で防犯灯が点いて、街頭の暗さをカバーする役目を果たしている。電気代かかるだろうに申し訳ない。道路まで照らしてくれる家、本当にありがとう。

でも、やたらと俺を照らしすぎだ。
俺はスターじゃないんだ!
俺は怪しいものでもないし、敷地に侵入したわけでもない。それなのにどうして俺を照らす?
電気を消費させてはいけないと、気をつかってその家とは反対の端を歩いても電灯は追いかけてくる。さらには近づいた家の電灯までが点きやがる。両側から照らされ、まるで昼間だ。
俺は大スターでもないんだ!

例えば、道を横切るだけのひとには反応しないとか、認証システムで住人のひとの顔を識別して点かないようにするとか。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。


第3の注文:車のオーディオに物申す
最近の自動車のオーディオは、ブルートゥースで設定をしておけば、エンジンをかけた瞬間に反応してスマホの中の音楽が流れるシステムになっている。なんて素晴らしいんだ。これを開発したひと、本当にありがとう。

でも、やっと寝付いた小さい子を乗せて出発しようとすると、そういう時に限ってロック調のハードな曲がかかったりする。音楽を聴きたくない時だってある。それなのに無理やり音楽を聞かせようとしてくる。

例えば、ひとの様子や表情を見て、音楽をかけたり消したりするとか、ボリュームを上げたり下げたりするとか、流す曲を選んだりするとか。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。


第4の注文:手洗い石鹸に物申す
最近、トイレなどで手を洗うとき、石鹸も水も手をかざすと自動で出てくるものが増えてきている。
蛇口をひねったりボタンを押したりして、それらに直接触れなくてもよいのはありがたい。
せっかくきれいに手を洗っても、最後に汚い蛇口に触れたら元も子もない。すばらしいシステムだ。
世界の衛生に貢献してくれたひと、本当にありがとう。

でも、石鹸をきれいに洗い流した後で、勝手に石鹸が再び出てきて手を汚してくれるのはどういうわけ?
何か俺に恨みでもあるの。それともただの嫌がらせ?

例えば、一度洗った人が立ち去るまで石鹸を出さないようなセンサーをつけるとか、「追加」と言わないと二度目は出ないとか。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。


第5の注文:自動ドアに物申す
自動ドアはずいぶん昔に登場し、生活の様々な場所で使われるようになってきた。
昔、デパートの扉は押しても引いてもよいものだった。自分が入ろうとすると、奥から出ようとする人が来て鉢合わせすると、押すか引くか迷ったものだ。そんな迷いはいまはいらない。一番有難いのは、両手に荷物を抱えているときだ。魔法使いのように自分の前の扉は開いてくれる。呪文もいらないので、その働きは魔法使い以上かもしれない。これを発明してくれたひと、本当にありがとう。

でも、どうでもいいけど、前を横切っただけで開くのはやめてください。
夏場にせっかくクーラーで冷えているところに、表の通行人がそれを台無しにする。

例えば、扉に体が正対した時だけ開くとか、「入る」と言ったら開くとか。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。


第6の注文:スマートフォンに物申す
スマートフォンは、いまやフォンではない。フォンなんてどうでもよくなった。SNSやそれに付属する電話機能で事が足りる時代となった。写真だって撮れる。音楽だって聴ける。物だって買える。あれもこれも、なんだってできるって感じ。素晴らしい。これを作ってくれたひと、本当にありがとう。

でも、気づかないうちに画面を触ってしまったからといって、勝手に電源を入ったり、勝手に電話をかけたりしないでくれる。
ときどきかかってきた電話に出ると、無言だったり、何か向こう側で関係のない話をしているのが聞こえてきたりする。自分が知らない間に、だれかに電話を通して聞かれたくないことがばれたりすることだってあるかもしれない。

例えば、触る指の後方に顔があるときだけ電源を入れたり操作を有効にしたりするとか、電話をかけたあとすぐに、耳に触れないと通じない機能を搭載させるとか。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。


第7の注文:会員カードに物申す
どこの店でも会員カードをすぐに発行してくれるのはありがたい。このカードで10%、20%と割り引いてくれる店もあり、庶民としては大変助かっている。こんなサービスを考えてくれたひと、本当にありがとう。

でも、その度に会員カードがたまっていく。財布がカードであふれる。一枚ぐらいなくしても簡単には気づかない。それが大切なクレジットカードだったら泣ける。どうしてくれるんだよと、どこに文句を言えばいいの?
「割引カードはありますか」
「はい。確かここに。これだったかなあ。あれえー。」
後ろの客が俺をにらむ。
俺のせいじゃないよ、と言って財布のあふれるカードを見せたい。

例えば、一枚のカードに登録すればいくつうもの店の会員カードとして使えるようにするとか、登録した自分の顔を機械でピッとすると割引できるようにするとか。ついでにその時の客の笑顔の出来で割引率を決めるとかすれば、客はみんなとびきりの笑顔で買い物をするようになり、店側も気持ちがよくなり、世の中も明るくなるんじゃないの。
何か手立てはあるんじゃないの。

本当に融通が利かないんだから。

・・いろいろ言ってごめんなさい。お願いだから、こんな俺に物申さないでね。



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