たちばなし No.78
こうさんのひとり言
我が家の「バレリーナ」は、時期が過ぎていて少し歳がいってしまっています。
しかし、その名に恥じないように、茎はしっかりしていてまだシャキッとしています。
そうです。
「バレリーナ」とは、上の写真にあるオレンジ色のチューリップのことです。
どうです、この長く美しい脚。
その脚の上部には、バレリーナの衣装を連想させる美しいオレンジの花が、スーッと空に向かって背筋を伸ばしています。
なんて美しい立ち姿なのでしょう。
まさしくバレリーナです。
その昔、チューリップは美しすぎるがゆえに、匂いなどいらないと消し去られてしまったそうです。
だからチューリップには匂いがない。
ところがこの「バレリーナ」というチューリップには匂いが残されています。
少し甘い感じのよい香りがします。
それにしても人間というのは惨いことをしますね。
花の美しさがあればよい、
匂いなどいらないと消し去ってしまうのですから。
人間なら、あなたはその美貌があるから声なんていらないでしょ、といって声帯を切除してしまうようなものです。
しかし花もひとも、その美しさやその良さは見た目だけではないはずです。
この花と言えば、この香り。
このひとと言えば、この声。
なんていうことだって立派にアイデンティティなのですから。
花ならば、色や紋様、大きさ、香りなどを含めた佇まいがその花を個性であるはずです。
これを人間の都合で削ぎ落してしまうのは、あまりにも常軌を逸した行動ではないかと思えてなりません。
我が家の庭にはほかの種類のチューリップも咲いていましたが、その中でもこの「バレリーナ」が一番最後まで楽しませてくれています。
ところで、このチューリップ、細い一本足での立ち姿を見て「フラミンゴ」と名付けようとは思わなかったのでしょうか。
調べてみると、「フラミンゴパーロット」という品種がすでにあるようです。どちらが先に命名されたのか定かではありませんが、既に存在していたから諦めたのかもしれません。
でもこのチューリップには、「フラミンゴ」より「バレリーナ」の方が100倍も似合っています。
バレリーナという音の響きと合わせて、そのイメージからくる気品や秀麗さまで感じさせます。どなたが名付けられたのか知りませんが、その方に脱帽です。
その我が家の「バレリーナ」の季節も、あと少しで終幕を迎えます。
つぎの開幕を待っているのは、妖艶な薔薇たちです。
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