たちばなしNo.30
こうさんの街ある記
第3日目 6月14日
国立ミュージアム
混雑する前に国立ミュージアムへ行って、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」やレンブラントの「夜警」を見ようと思った。
フランスのルーブルもそうだったように、建物の中央を突っ切って道路が走っている。その建物の下の道路の左右にミュージアムの回転扉の入口がある。最初の入口としては非常にわかりにくい。
しかし中に入ると階下の入口とは対照的に、非常に大きいエントランスが広がっていた。
まだ客が少ないため、警備員なのか係員なのか制服を着た人たちが目立ち、異様な物々しさを感じた。チケットを見せてゲートをくぐると、いきなり無機質な壁が正面を遮り、左右どちらかに進むより仕方なくなる。
ところが何の表示もないので仕方なく勘を頼りに左へ進むことにした。そのまま進むと地下に降りる階段があり、日本と韓国の国旗が記されていた。お目当てのものは上階にあるのだが、日本の国旗が気になって降りてみることにした。
そこには仁王像など、わずかな展示物が寂しく置かれていた。自分以外に見学者はだれもいなかった。おそらくあの目立たない場所にある階段をここまで降りて辿り着く客は、そんなにはいないにちがいない。
フェルメールとレンブラント
「牛乳を注ぐ女」は縦80センチぐらいであろうか、思っていたほど大きな作品ではなかった。実物は写真で見ていたほどの明るさや光沢はないが、しっとりと落ち着いた深さを感じさせる作品だった。ただ、周りの作品と比べて額縁も案外シンプルで、展示場所も特別なところではなく、思っていたイメージとは違って少々拍子抜けした。オランダではフェルメールや彼の作品は、評価がさほど高くはないんだろうかと思ってしまった。
それに比べてレンブラントの「夜警」は違った。作品の大きさによるところもあるが、大きな部屋の正面の壁一面を飾っていた。しかも係員が二人も配置されていた。レンブラントは当時の富豪や貴族のお抱え絵師だった。そのため彼らの誇らしげな姿を多く描いている。
対照的にフェルメールは日常の生活の中に題材を求めた。貴族から重宝される存在ではなかったが、それゆえ自分が描きたいものを描くことができたのではないかと思う。
腰を降ろして窓にはめ込まれたステンドグラスを眺めていた。そこには画家の肖像画描かれていた。レンブラントは見つけることができた。しかしフェルメールは見つけられなかった。しばらくすると小雨が窓を濡らした。
雨をやり過ごす
にわか雨だろうと、近くのチーズ専門店で雨宿りしながら駅に戻った。ところが駅に着くなり雨は激しさを増した。今度はトラムに乗って雨が止むのを待った。終点まで乗ったがまだ雨は止まなかった。仕方がないので、折り返して駅で止むのを待った。1時間半ほど降り続けた雨は、2時を過ぎたころやっと小降りになった。
ボートクルーズ
いったん部屋に戻った後、5時半ごろに光が差してきたので再び出かけ、ボートクルーズに参加した。1時間ほどかけて運河を1周する。親切に日本語ガイドもあって助かった。しかもパリの時と違い、しっかりした日本語だったこともうれしかった。パリ市内で市内観光バスに乗った時も感じたことだが、その街の概要をつかむためには、最初にこうしたオプションに参加することはその後の観光を効率よくするうえで有効だ。
次からはこうしたオプションを最初に組み込んでおくようにしよう。
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