トイレのはなし 2

たちばなしNo.51

たちばなし



こうさんのひとり言

※ このブログは、前回No.50の続きです。よろしければ、そちらと合わせてご覧ください。No.50は画面右の「暮らし」の中にあります。


トイレは、人間が生きていくうえで生理的に大切な「食う」「出す」「寝る」の一つに深く関わるものであるから、大切なものである
そのトイレにまつわる話の続きである。

今回は怖かった話を紹介してみたい。
トイレは昔からわたしたちの生活と深く結びついている。にもかかわらず、おしりを出す、臭いにおいがする、虫が湧くなどの衛生面で問題がある等の理由で、生活の場から少し外れたところに置かれていた。暗くて、狭くて、少し遠い、かわいそうな存在だった。
そのため、これまで幾度か、怖くて、辛くて、苦い経験をしてきた。


第2の思い出(はるか遠い便所)

子どもの頃、夏休みなどに田舎の親せきの家にときどき泊まりに行くことがあった。
緩やかな坂の途中にあったその家の南には田んぼが広がり、のどかな田園風景だった。すぐ脇には村の火の見櫓があり、横に村の消防団の倉庫が建っていた。北側には薄暗い竹藪が広がっていた。
この家のトイレは2か所。
一か所は母屋から張り出し、長い長い廊下でつながっていた北側の竹やぶの中にあった。
もう一か所は庭に甕が埋め込まれただけのものだった。
通常は竹やぶの中の便所を使った。
こちらの便所は子どもが行くには、昼間でも怖いところだった。
もともとビビりの自分は、この家に来るといつもトイレを我慢していた。しかし、いつまでも我慢することは叶わない。かといって、恥ずかしがり屋でもあった自分は、外の甕ですることもできなかった。
もう我慢できないとなると、早足で竹やぶの便所に向かい、用を足すと、再び早足で逃げ帰ってきたものだった。
日中は、なんとかこれでやり過ごしていた。
ところが日が暮れるとそういう訳にはいかない。
そういうときは、しかたなく隣に寝ていた祖母を起こしてついて行ってもらった。

ある日、5年生になっていた自分は、さすがに祖母を起こしてついて行ってもらうには気が引け、自分で竹やぶの便所に向かうことにした。
竹やぶに向かって緩く傾斜した廊下を進む。
途中小さな電球が一つ二つしか点いていなかった。薄暗いというよりは真っ暗にちかいその板張りの廊下の冷たさを、足の裏で感じながら進む。
ときおり板のきしむ音がする。その度に立ち止まり恐る恐るあたりの気配を確認する。
それでもなんとかたどり着き、便所の扉のきしむ音を聞きながらそっと中に入る。
扉を閉めるべきか、あるいは開けておくべきか迷っていた。
すでにここまで長い間我慢してきているので、下半身にはもうゆとりがない。
そんなとき、風が吹いて竹やぶ全体がざわざわと音を立てた。
余裕のない自分には、それが風の仕業だとわかるはずはなかった。
恐ろしい正体不明のものが近づいてきたと思ったのだろう。
そのまま踵を返して、全速力で板張りの坂を駆け上がっていった。
気づくと、下半身にたくさんの汗(?)をかいていた。

その夜は、パンツを脱いで寝間着だけで寝た。

次の日、もう竹やぶの便所には行かないと堅く決意していた。
今夜どうしてもトイレに行きたくなったら、外の便所でしようと決めていた。
緊張しているせいか、そういう時に限ってまた夜中に行きたくなるものだ。
仕方なく、玄関のたたきに降り、そこに置いてあった下駄を借りて庭の奥にある甕に向かった。
周辺には街頭などなく、あたりは真っ暗闇だ。
わずかな星明りを手掛かりに、そろそろと履きなれない下駄で進む。
この辺りは大嫌いな蛇がたくさんいる。
蛇に噛まれたらどうしようと、おびえながら進む。
足元も気になる。
前方の甕のあたりの暗がりも気になる。
誰もいないかと後ろも気になる。
恐怖心だけがどんどん増幅していく。
下半身は限界に近付いている。

その時、右奥の柿木のあたりでガサッと音がした。
気がつくと玄関に向かって走っていた。

玄関の小さな明かりの下まで来ると振り返り、音がした方を確かめた。
ネズミかタヌキか、何ものなのかわからなかったが、間違いなく何かがいた。

やむなく、その夜は玄関横の花壇にそっと雨(?)を降らせた。
叔母さん、ごめんなさいと聞こえない声で謝りながら。

次回は、大学生の頃のトイレの話を紹介したい。


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